長崎伝承ハトシとは 長崎卓袱料理の一品だったハトシ 「ハトシ」は、「海老のすり身」などを「食パン」で挟み、油で揚げたものです。「ハトシ」が中国から長崎に伝わったのは、明治の頃と言われています。 「ハトシ」は、長崎の料亭で卓袱(しっぽく)料理の一品となりました。その後、長崎の一般家庭料理になります。それぞれのご家庭での「ハトシ」は海老に限定せず、挽き肉、魚のすり身など色々な素材が使用されていました。 山ぐちのハトシは素材にこだわります 日本人は世界一の海老好き民族です。世界最大の海老の消費国で、その輸入先は世界六十カ国に及びます。当店の「ハトシ」の持ち味は「素材の良さを生かす」この一点に尽きます。そのため当店では素材の「海老」は、なによりも、くせの無い甘さ、淡白な美味しさを特長として厳選し、「すり身」にするもの、一尾のまま食感を大切にする物など海老のサイズを変えて使用しています。 長崎伝承ハトシの製造工程 〈工程1〉 甘みと旨味たっぷりの厳選海老をきめ細かく挽き、その後、石臼を使ってなめらかにします。途中、温度が上がりすぎないように氷を入れながら作業します。 工程2 ぶつ切りした海老を用意し、なめらかに挽いた海老に加えます。こうすることで海老のプリッとした食感を楽しむことができます。混ぜ合わさったら生姜汁などを加え、味を整えます。 工程3 専用の食パンに、具を手作業で挟み込みます。微妙なさじ加減も軽快な職人技で均等な仕上がりに。 工程4 具の詰まったハトシを、昔ながらの蒸籠(セイロ)で蒸し上げます。ホカホカに蒸し上がったハトシを冷凍し、新鮮なままお客様のもとにお届けします。 長崎名物ハトシは山ぐち仕出し店から 〈新長崎市史 第四巻現代編掲載より抜粋〉 最近気軽にたべられるようなったハトシも、しっぽく料理の流れを汲む。もともとは中国由来の料理で、「蝦吐司」と書く。蝦はエビ、吐司は食パンを指し、エビのすり身を食パンに包んで油で揚げたものである。 長崎には幕末から明治の頃に家庭料理として伝わったが、すり身にする手間がかかるなどの理由で一般家庭にはあまり普及しなかった。 その後、大正十年創業の山ぐち仕出し店が、しっぽく料理の一品としてメニューに取り入れた。平成時代に入り、山ぐち仕出し店が長崎ランタンフェスティバルの屋台料理として揚げたてのハトシを出したところ、エビの食感とパンの香ばしさが人気となり、手に持って食べるスタイルが若者に受けてヒットした。 長崎伝承ハトシは、山ぐち仕出し店の登録商標です。